とけろぐ

小学生時代の友達の話

小学校高学年のときに仲良かった友達がいる。

ここでは晴ちゃんと呼ぶことにする。

晴ちゃんはとある事情で子供の頃から有名人だった。

子供の頃の私は有名人=すごいと無邪気に信じていた。

最初の頃は晴ちゃんが有名人で裕福であることにちょっとした妬ましさを感じていた。だんだんと仲良くなった後は「虎の威を借る狐」ならぬ有名人の威を借るガキで、晴ちゃんは不快に思っていたかもしれない。

そういった有名人であるということは抜きにしても明るい性格の晴ちゃんと遊んだのは楽しかった。

その証拠に林間学校で晴ちゃんとした〇〇〇〇ごっこや、晴ちゃんが真似した花より男子の牧野つくし(まったく似ていない)や、晴ちゃんが餅にブルーベリージャムをかけて食べていたことなどをよく覚えている。

3年ほど前にインターネットニュースで晴ちゃんの近況を知った。その後、晴ちゃんは自殺企図をして大怪我を負った。

家族関係などでとても苦しんでいたことなどを私は知らなった。

現在の晴ちゃんの容姿は小学生の頃の面影もなかった。晴ちゃんは昔の自分を捨てたようだ。

晴ちゃんはたくさんの知らない誰かに応援されていて、それでも自傷行為を繰り返しているようだ。

幼少期の一部を共に過ごしたのに「~ようだ。」としか言えない。

私は晴ちゃんとまた無邪気に遊びたいけれど、晴ちゃんは過去を捨てたようだし、それは無理なのだと思う。昔の晴ちゃんの姿や声は今でも鮮明に覚えているが、今の私にできることは何もない。

人となりというものは生涯にわたって変わらないと私は考えている。きっと今でも晴ちゃんと私は楽しく話せるだろう。それなのに、2本の直線は1つの点で交わると、その後はもう2度と交わらない。