永山基準とは死刑を適用する際に用いられる判断基準のことである。
当時19歳であった1968年に4人を拳銃で殺害した永山則夫元死刑囚に対する判決として1983年に提示された死刑適用基準のことである。
9つの項目から成る。
犯罪の性質
犯行の動機
犯行の様態(残虐さ等)
結果の重大さ(被害者数)
遺族の被害感情
社会的影響
被告の年齢
被告の前科
犯行後の情状
基準と呼ばれてはいるが、実態は「9つの項目(上記)について考えたときに、やむを得ない場合と判断される場合のみ死刑を適用できる」という指針に過ぎない。
よって世間で誤解されているような(自分も誤解していた)「被害者が何人以上死亡したら死刑」というように一律に定められているものではない。
それどころか被害者の数というのはあくまで観点の1つでしかない。
光市母子殺害事件は1999年に当時18歳の少年によって起こされた殺人事件である。詳細は省略する。
永山基準では「やむを得ない場合のみ」とされた死刑の適用を、光市母子殺害事件の判決では「特に酌量すべき事情がない限り」としている。
そして、実際に光市母子殺害事件の被告は「特に酌量すべき事情がない」と判断され、死刑判決が下された。
(光市母子殺害事件の被告に特に酌量すべき事情がなかったのかは一考の余地がある気がするが、それはさておき。)
よって光市母子殺害事件の判決は、永山基準よりも死刑の適用範囲を広げたともいう考え方もできる。