いろいろあって10月に1週間海外に行ってきた。その写真を祖母に見せたら
「そこにはいつかぜひ行ってみたいと思っているんだけど、もう無理だね。」
と言われた。私の祖母は70歳を超えているが、とても元気で私よりも活動的なぐらいだ。しかし私はどうしても祖母に
「そんなことないよ。いつか行けるよ。」
とは言えなかった。なぜか「いつか」が来ることに自信がもてなかった。
「いつか」という言葉を私たちはよく使うが、その中の多くが永遠に来ない「いつか」なのかもしれない。
「いつか」という未来へのぼんやりとした期待こそが生きる原動力だと思う。だから「いつか」を残して死ぬことは幸せで当たり前のことなのだろう。そう分かっていても、近くの国の観光名所に行くという祖母のささやかな「いつか」さえ叶わないであろうことに割りきれない気持ちを感じた。